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相談コラム

配偶者居住権は2次相続に係る相続税対策となるか?(2019/07/02)

配偶者居住権は、民法の改正により令和241日以降の相続からスタートします。

一方配偶者の相続後、他方配偶者が遺言の指定又は遺産分割協議により、終生自宅に住み続けられる権利です。この改正により、遺産分割協議において、配偶者がより金融資産を相続することができるものと期待されています。

この配偶者居住権の評価は自宅不動産の時価から、配偶者の平均余命(存続年数)に応じて複利現価による計算がされた価額を差し引いた残額とされています。

法務省のホームページに掲載されている事例では、妻75歳の時の相続で自宅不動産の評価が4,200万円(建物評価0円)で、配偶者居住権に基づく敷地利用権が1,500万円、配偶者居住権が設定された土地の所有権の評価が2700万円となっています。これは配偶者居住権の設定された土地の評価が存続年数15年の年3%での複利現価率0.642を乗じた2,700万円となり、土地の時価4,200万円との差額1,500万円が配偶者居住権に基づく敷地利用権の評価となります。

ところで、この配偶者居住権ですが、この権利は配偶者の生存中の権利で、配偶者が亡くなれば、この権利は消滅し、ゼロとなります。つまり、配偶者が相続した際の評価は1,500万円でも、配偶者の亡くなったときの相続時の評価はゼロということです。

配偶者が自宅不動産を所有権で相続すれば、そのまま配偶者の相続時の財産となりますが、配偶者居住権であれば、配偶者の相続時の評価は必ずゼロとなりますので、所有権でなしに居住権を相続した方が評価が下がり、相続税対策につながります。端的に言えば、節税策として、配偶者居住権で相続しましょうとなるわけです。

配偶者が持った配偶者居住権の評価については、近々に明らかになると思われますが、節税を意識して配偶者居住権を意図的に利用したとしても、民法上で制度化されたものであり、また制度が普及すれば配偶者の生活の安定化につながるものであるため、やはりゼロとしての評価が認められるものと思われます。

2次相続税を考慮した配偶者の自宅敷地の相続(2019/04/26)

平成27年の税制改正で相続税の基礎控除額が引き下げられたことから、相続税の申告数が増加しています。その中で、被相続人の所有する自宅と金融資産だけで申告する例が多くなっています。

それらの例のうち、自宅の敷地について、小規模宅地の減額の適用を受けることにより、相続税が結果的に発生しない場合も結構あります。この小規模宅地の減額の制度は、被相続人の居住していた敷地を配偶者が相続したり、又は同居の相続人等が居住し続ける場合に330㎡までの敷地について、80%減額されるものです。

同居されている相続人がいない場合、配偶者が自宅の敷地を全部相続して、この軽減の適用を受け、その結果、財産額が基礎控除以下になることで相続税が発生しないケースです。

結果としてこれでもよいのですが、2次相続に係る相続税(将来の配偶者が死亡した際に課税される相続税)を考慮しますと、基礎控除額を下回る範囲で他の相続人(例えば、非同居の子)に自宅の敷地の一部を相続させることで、2次相続に対する節税対策につなげることができます。

例えば、相続人が配偶者と子2人とし、被相続人の財産は、自宅敷地の評価額が4,000万円、預貯金が2,000万円とします。(基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)です。

配偶者が自宅の敷地全部を相続すれば、その評価額は、4,000万円×20%で800万円となり、財産の合計額も自宅敷地800万円と預貯金2,000万円で合わせて2,800万円で、基礎控除額を下回ります。

一方、配偶者が自宅敷地の1/2を相続して、残り1/2を子に相続させても、配偶者の敷地の評価額は、4,000万円×1/2×20%の400万円で、子の自宅敷地の評価額4,000万円×1/22,000万円に預貯金2,000万円を合わせても合計4,400万円で基礎控除額を下回ります。こちらの方が配偶者の自宅敷地の持分は半分に減り、評価額も4,000万円から2,000万円に下がり、2次相続のことを考えますと有利です。

最近、このような配偶者の自宅敷地の相続する持分を調整して、なお相続税が掛からないという、2次相続対策を考慮した相続のパターンがしばしば行われています。

相続税の申告が必要かどうか?(2019/03/31)

 相続が起こられて、時々、相続税の申告が必要ではないかということで尋ねに来られるケースがあります。

その際は、相続税の申告が必要かどうかを判断するために、まず、お持ちのご自宅等の不動産について、幾らぐらいの価額か尋ね、それが不明であれば、不動産の所在や面積等から価額を予測します。正しくは、路線価を調べたり、固定資産税の納付書(納税通知書あるいは納付書兼領収証書)があれば、その評価額の1.25倍を目安として、評価します。

参考として不動産の概算評価では、より正しく評価できる順から並べてみると次のような方法があります。

  路線価図で所在を確認し、路線価を乗じておおよその評価額を算出する。

  固定資産税評価額を参考に、その額の1.25倍を目安とする。

  相談者の聞いている相場の金額を参考にする

建物の価額は固定資産税評価額を用いますが、評価額がわからなければ、建築費や築年数から推測します。次に金融資産は単純にいくらぐらいお持ちであったかお聞きし、その金額と不動産の評価とを足して、財産額の合計額を推測します。それ以外の要素として、被相続人からの3年以内の贈与がないか、あるいは家族名義等の預金がないかなどお尋ねします。

 

このような質問をもとにざっとした概算による財産の合計額から、法定相続人の数を参考に基礎控除額と比較して、次のいずれに当てはまるか、それによって各々の答え方をしています。

   財産の合計額が基礎控除を完全に下回ると予想される場合

 税金に関して(あるいは税務署に対して)一切の手続きは不要です。

   財産の合計額が基礎控除額の前後と推測される場合

 申告が必要かどうかをきちんとみなければならないため、税理士に相談して相続税の申告が必要かどうかを確認する必要が有ります。

➂ 財産の合計額が基礎控除を完全に上回ると予想される場合

 相続税の申告や納税が必要と考えられるため、税理士に申告の依頼をしてもらいます。

 

 相続税の申告に関して、相続人自身で申告書を作成できないかというご相談がありますが、基本的に、間違いのない申告書を作成することは困難だと申し上げています。仮に作成することが出来たとしても、財産債務の内容やその評価において多数の誤りが生じ、結果的に、過大もしくは過小に、申告されていることと思います。それでも良ければ、可能といえますが、適正な申告はもちろんのこと、相続に関するアドバイスも含め依頼される方が良いのではと思います。

配偶者居住権の評価の割合(2018/12/30)

民法の改正により、配偶者居住権が創設され、2020年の41日から施行されることになり、その配偶者居住権の相続税法上の取扱いが平成31年の税制k改正で取り上げられ、評価方法が明らかになりました。それには、配偶者居住権のある土地の評価は次のとおりとなっています。

「土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率」

1 存続年数とは、配偶者の平均余命(遺産分割協議により定められた期間がそれより短ければその年数)。

2 民法の法定利率による複利現価率とは配偶者居住権が施行される2020年においては3%の予定。

一方、配偶者の持つ配偶者居住権の土地に対する権利の評価は、次のとおりです。

「土地等の時価-配偶者居住権のある土地の評価」

これは土地等の時価から配偶者居住権のある土地の評価を差し引いた残額です。

 

上記の評価で、配偶者居住権の付く土地の評価の割合がどうなるか、配偶者が女性としてその年齢が65歳から85歳の場合で計算してみますと、次の右側2つの列で示される割合で土地の価額が按分されることになります。

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この表の割合の推移から、配偶者居住権が6歳では土地の約半分の評価がされ、85歳でそれが約4分の1に減少するという結果がでます。すなわち、平均的にみれば、土地に関して配偶者居住権が半分から4分の1程度に計算されると判断して良いのだろうと思います。 

注:ここでは平均余命の計算で小数点以下を切上げて計算していますが、その部分については未だ確定していません。

 

 

 

 

遺言で救急車を寄付したい.(2018/10/21)

夫が生前、急性心不全を発症して2度ほど救急車で病院に運ばれたことがあって、財産の一部を遺言で救急車の購入のために寄付したいとの相談がありました。

救急車を寄付するといっても、救急車の購入にいくらかかるかわからないものですし、消防局と折衝して、その手続きを誰かが代わりに行わないといけないこともあるため、生前にご自身で消防局と相談して話を進めた方がよいとお答えしました。

しかし、現在、株式の配当等と年金で生活しているので、今は寄付できないが、亡くなった後であれば、子供たちも生活できる程度の財産もあることから、寄付したいとのご要望でした。

該当する市の消防局に問い合わせたところ、その市では同じ仕様の救急車でまとめているとのこと、また、金銭の寄付では直接的に救急車の購入に充てられたかどうかは明確にわからないのでは、ということで、まずは一度ご相談いただいた方がよいとの回答でした。

実際の今まで寄付されたケースでは、寄付されるご本人と消防局と車の製造を行うメーカー側と3者で打ち合わせて、一旦、ご本人の車として発注を行い、納車とともに市への寄付を行うとのこと、併せて、納車時に寄贈式を行い、感謝状を贈呈するとのことでした。

この寄付行為を遺言書に表すことにし、その遺言書では相続人に市の消防局との相談の上、株式等の金融資産を換価処分して救急車を寄付するようにしました。実際には相続人である娘さんとそのご主人に手伝ってもらい、手続きを進めてもらう予定です。

母の相続分を1/2超にした方がいい場合 とは?(2018/09/01)

医者であるお父さんがこの3月に亡くなられました。お母さんと兄2人と合わせて4人が相続人です。母と長兄から「子3人の相続分を法定相続分(2分の1)より少ない遺留分程度の4分の1に下げ、母の相続分を法定相続分の2分の1を超える4分の3程度にした方が相続税上有利だ」といわれたが、「本当なのでしょうか?」と相談に見えられた。

 

お母さんの相続分を4分の3にした方が、相続税が有利という場合は、相続税では配偶者に関して法定相続分の2分の1、又は、財産額で16千万円まで無税のため、法定相続分の2分の1を超えても、1億6千万円以下のため、そのようにいっているのではないか、つまり、母の相続財産が1億6千万円で、かつ、相続分が4分の3となる財産額を逆算すると21333万円程度の財産があるのではと申し上げたが、相談者によると相続財産は3億円以上あるとのことだった。

 

財産が3億円以上ある場合で母に4分の3程度財産を持たせるときに、相続税が最も安くなるとは一体どういうことでしょうか?考えられることとしては、次のようなことが想定されます。

 ①    マイナスの財産である借入金が別にあり、その借入金が差し引けば純財産が2億円程度となって、母の相続分が4分の3でも全額非課税となる

 ②    自宅の土地について一定要件を満たせば約100坪までの評価額が8割減額される小規模宅地の減額制度の適用によって、3億円ある財産も2億円程度まで下がる。

 ③    母や長兄の説明していることと三男が聞いた内容に錯誤がある。

 以上のようなことを除けば、母の取り分4分の3の方が得だということはなかなか考えにくいところです。さらに、お母さんの場合はそれなりにご自身で財産形成もされていらっしゃると思われますので、お母さんの元々に財産にお父さんからの財産が上乗せされるとお母さんの相続の際の相続税が余計にかかり、両者の相続税の合計額がより増えてしまいます。

一般的にお母さんに財産がある場合には、相続税上、お母さんに相続される財産は2分の1未満である方がむしろ両者に係る相続税が最も低くなり、お母さんの相続分を2分の1を超えて相続させることが相続税上有利であるとはいえません。

 

 このようなことを考えますと、果たして、お母さんと長兄がいっている母4分の3、子が4分の1というのは、他に何か考えがあるのではないかと思ってしまいます。

配偶者の自宅の居住権の創設(2018/08/13)

被相続人が所有していた自宅の土地建物が相続される場合、残された配偶者に自宅に住しみつづける権利が新たに設けられます。

被相続人の財産に関して、配偶者が自宅の土地や建物を相続すれば、金融資産等を相続する分が減ります。土地や建物は財産の中でも評価の高いものですから、その分金融資産等の相続が減ることで今後の生活に不安が残ります。逆に生活の安定を図り、金融資産を相続すれば、自宅の土地建物が相続できなくなり、自宅に居住できなくなる恐れが生じます。

そこで、民法が新たに配偶者に自宅に住む権利「配偶者居住権」を設けました。

これは相続から6か月間か遺産分割協議が確定する日のいずれか遅い方の日まで住むことが認められる権利(これを「配偶者短期居住権」といいます。)とそれ以後、遺産分割協議でまとまるか、又は遺言で指定されていた場合に終身にわたって居住が認められる権利(これを「配偶者居住権」といいます。)との両方があります。

結果、配偶者の相続財産のうちにかなりの割合で占めていた自宅の土地や建物がこの配偶者居住権によってかなり財産としての評価が軽減されるため、より金融資産等の他の財産を得やすくなり経済的な不安が払拭され安心して暮らしやすくなります。(この配偶者居住権は借家権を参考に評価が今後出されていくものと思われます。)

相続法改正 その2 自筆証書遺言の法務局での保管(2018/08/03)

自筆証書遺言は作成後、自身で金庫や大切な書類をしまってあるところに保管しますが、紛失したり、破棄されてしまう可能性があります。万一の際に表にでてこなければ意味がありません。

このような心配があれば公正証書遺言の方が安全です。

今回の民法の改正で法務局での遺言書の保管制度ができます。

これは「法務局における遺言書の保管に関する法律」が新たに制定されて、申請書に遺言書を添えて法務局に提出すれば遺言書を保管してもらえる制度です。

この制度により、遺言書を預かってくれる公の機関が存在することになり、紛失、破棄等の恐れがなくなり、安心して自筆の遺言書を預けることができるようになります。

また、自ら法務局へ出向いて、本人確認の上遺言書を保管しますので、遺言書の内容が自らの意思に基づくものであると判断しやすくなります。

従来、自筆証書遺言では、保管の安全性や本人の意思かどうかでもめるところがありましたが、それがより確実になるという点で今後の利用が拡がっていくものと思います。

 

相続法改正 自筆証書遺言に自筆でない財産目録の添付が可能に(2018/07/22)

自筆証書遺言は、全文自筆で日付と押印があれば完成できます。内容が簡便であれば、簡単に作成できますが、一方で内容が複雑で財産の種類が多ければ、量も多くなり間違いのないように作成するには苦労します。

今回の民法の改正で財産の表示については、別紙に目録として表せば、自筆で作成していなくても、パソコンで作成したものや第3者が作成したもの、あるいは不動産の登記簿謄本や通帳の写しを利用することが可能となりました。このような財産目録として添付すれば、全文自筆でなくてもよくなったのです(ただし、この財産目録については一枚ごとに自署押印は必要です)。

この改正がされれば、財産を間違って表記したり、書き間違えることも少なくなります。特に不動産について指定する際に、マンションであれば登記簿謄本どおり記載するにはかなりの量になって面倒ですが、これが登記簿謄本の写しを財産目録として代用することができます。

施行後は、例えば、遺言書の本文(一枚目)で、「配偶者には別紙1の財産を相続させる。

長男には別紙2の財産を相続させる。長女には別紙3の財産を相続させる。」というように作成して、二枚目以下に別紙として用意した財産目録を綴れば、容易に完成します。

今後、このような本文と財産目録のセットというスタイルで作成される自筆証書遺言が多くなると予想されます。

 

 

子のいない夫婦の遺言書(2018/07/08)

ご夫婦がお見えになり、お互いに遺言書を作成しているのだが、同時に夫婦が死亡した場合にどうなるのかとのご質問をいただきました。

同時死亡の場合には、お互いがいないものとして各々の相続関係をとらえます。このご夫婦の場合には子供がいないため、夫の財産は夫の兄弟姉妹(その兄弟姉妹が亡くなっている場合にはその子である甥や姪、以下同様)が、妻の場合には妻の兄弟姉妹が相続人となります。

実際に公正証書遺言として作成された遺言では、「すべての財産は配偶者に相続させる」との内容だそうです。このような内容の遺言書ですと、同時死亡の場合を含めて、後に亡くなった方の遺言書では効力がなくなり(配偶者が先に亡くなっているため受遺者がいない)、残された方の兄弟姉妹が相続し、それらの者の分割協議になってしまいます。

つまり、先に亡くなった方の場合には先に亡くなった者の遺言が活き、配偶者に財産が渡りますが、次に亡くなった方の場合には配偶者が亡くなっているため、遺言書の効力がないことになります。

結果的にご夫婦の残った財産は後になくなった配偶者の側の兄弟姉妹にわたってしまうことになります。

相続人が兄弟姉妹の場合には遺留分がないため、遺言すれば100%その通りに財産がいきます。残された配偶者が相手方の兄弟姉妹と分割協議を行うのも面倒ですし、子がいない夫婦の場合には必ず遺言しておくことです。

さらに、夫婦とも亡くなった後のことも考慮して夫婦の財産を誰に引き継がせるかも指定しておきます。

このご夫婦の場合には、ご主人の弟さん、もしくは、その子2人に財産を上げたいとの意向でしたので、そのように遺言書を作成しておくことです。

その例を次に書いてみます。

 

※夫の遺言書例(カッコ内は妻の遺言書例)

私のすべての財産は妻(もしくは夫)○○に相続させる。

もし、妻(もしくは夫)○○が亡くなっていた場合には、すべての財産を夫の兄弟である○〇(その者が亡くなっていた場合にはその子2人に均等)に相続(又は遺贈)させる。

 

とこのように作成しておきます。

 

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